1級:原価計算の特徴と対策

 建設業経理事務士の原価計算では、第1問に理論の記述問題が出題されます。しかし、他の科目にも同じことがいえますが、この第1問が完璧に解答できる受験生は多くありません。したがって、この問題の出来不出来が直接、合否に影響することは考えにくいでしょう。

 第2問では、「用語群から文章への適語補充問題」か、「正誤問題」が出題されます。日商簿記1級の工業簿記・原価計算にはない出題形式であり、建設業の特徴と一般的な原価計算理論を理解していないと完答は難しいですが、過去問題集を参考に学習すれば対応することができます。

 第3問では、よく「社内損料計算制度」が出題されます。日商簿記1級にはありませんが、毎回パターン的に出題されるため、社内損料計算の公式さえ覚えれば比較的容易に得点できる問題です。

 第4問は、費目別計算や総合原価計算といった日商簿記1級でもなじみのある問題が個別問題形式で出題されます。日商簿記1級で学習した知識をそのまま生かせるので、確実に得点したい問題です。

 第5問は「工事原価計算表の作成問題」が毎回のように出題されます。これも第3問と同様に日商簿記1級にはない問題ですが、建設業の特徴を踏まえて過去問題集を繰り返し解くことで、高得点が期待できる問題です。

 原価計算は、毎回パターン的に出題され、しかも試験範囲の改訂などもなく、過去5年間の平均合格率は35.7%と3科目の中では最も高い科目です。比較的取り組みやすく合格しやすい科目といえます。

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1級:財務諸表の特徴と対策

 財務諸表は、第1問では原価計算と同様に理論問題が出題されます。出題内容としては、一般原則や貸借対照表原則、損益計算書原則等といった、会計理論の総論的な内容が出題されています。やはり、完璧に解答できる受験生は多くありませんが、日商簿記1級の知識で対応できる出題もありますので、「部分点ねらい」という対策で十分だと考えられます。

 第2問は、「文章の空欄への適語補充問題」、第3問は、「3種類の語句から文章作成問題」、第4問は「個別計算問題」が出題されます。これらの問題はどれも日商簿記1級の会計学の知識を生かせば完答できる問題です。

 第5問は、毎回精算表作成問題が出題されます。日商1級を学習してきた方なら十分に解答できる問題です。ただし、費用の見積額を計算し、それを月割して製造原価に加え、期末に調整するという日商では見慣れない会計処理には注意が必要です。

 財務諸表は、日商簿記1級学習者であれば十分合格できる科目であり、日商簿記2級の学習を終えた方が建設業経理事務士の学習をはじめるにあたって最初に挑戦するのに最適な科目だと考えられます。

 過去5年間の平均合格率は、17.36%と原価計算に比べると低いですが、過去に出題された問題を中心に学習していくことで、合格レベルに達することが出来ます。なお、近年は新会計基準の導入に伴い、出題範囲の変更がありますので、注意が必要です。

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1級:財務分析の特徴と対策

 財務分析は、日商簿記検定の試験範囲にはない科目ですので、最もなじみの無い分野といえます。第1問では、やはり理論問題が出題されますが、高い確率で「分析手法」について出題されますので、予想がしやすいという特徴があります。

 第2問は、「文章への適語補充問題」または「計算問題」、第3問は、「計算問題」または「正誤問題」、第4問では、資金運用表や損益分岐点分析といった各種分析についての「計算問題」、第5問は、財務諸表をもとに様々な比率の計算問題が出題されます。

 財務分析という科目は財務諸表を作成したあとからがスタートになります(難しい日々の取引や、決算処理はあまりありません)。ですから、比率(当座預金比率や経常利益率などの特殊比率)の公式や意味を覚えて計算するだけの科目です。
従って、学問的な難しさもなく、最も短期間で学習を終えることができる科目です。ただし、財務諸表と同様に出題範囲には注意が必要です。

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